鑑定書と鑑別書の違いってなんでしょう。
鑑別書は国籍の書いてあるパスポートのようなもので、鑑定書は健康診断の結果表のようなものです。
つまり鑑別書はその宝石がルビーなのかサファイヤなのか、はてまたダイヤモンドなのかを書いてあるものなのです。
石の種類だけでなく、あとから着色したものやほかの石を張り合わせたものなどの天然以外の加工をしてあるかどうかなども記載されます。
ところで、鑑定書はダイヤモンドにだけ添付されます。
(一部パールについても発行しているところもありますが、一般的にはダイヤモンドについてだけ添付されます。)
では、鑑定書の内容を見てみましょう。
鑑定書にはダイヤモンドの4Cについてが書いてあります。
(4Cについてはダイヤモンドのグレードについてを参照してください)
ダイヤモンドの色のグレードはなにでクラリティーはどれぐらいで、カットはどのぐらい正確かという内容が書いてあります。
それではこの鑑定・鑑別書というものは誰が発行するのでしょうか?
「宝石鑑定士が発行する?」 正解です。
では宝石鑑定士ってどうゆうもの?
宝石鑑定士は国家資格ではありません。
業界でみとめられた資格ではありますが、国が認めたものではありません。
私が明日『日本宝石鑑定研究所』というものをぶち上げて、私がみとめた者に鑑定士の資格を授けても法律上何の問題もありません。
その鑑定士が発行する鑑定書も流通してしまいます。
しかし、世の中そんなに甘くはありません。
「なにっ?『日本宝石鑑定研究所』???そんなものは聞いたことがないな!」
「もっとまともな鑑別機関の鑑定をつけろ!」といわれるのが落ちです。
ではまともな鑑別機関とはどこなのでしょう。
宝石業界で一般的にまともといわれているのはGIAという団体の鑑定士による鑑定鑑別機関などです。
中でも鑑定鑑別だけで宝石の販売をしていない大手数社の鑑別鑑定書が一番流通しています。
ただ、この数社の鑑定鑑別書しか信用できないかというとそんなこともないのが宝石のわかりづらいとことです。
あまり一般的ではない鑑定鑑別機関でもきちんとした鑑定鑑別書を発行するところもありますし、お得意様には甘い鑑定を出すところもあります。
実際にある消費者の持っていた鑑定書では、テーブル面のガードル面に対する割合が30%しかないのにカットの評価がベリーグッドになっていました。
消費者保護の立場からも、早く、宝石鑑定士を国家資格とし、資格剥奪などの罰則を含む資格組織制度をつくるべきだと思います。
今、現在ではなにを信じるといっても、販売する販売店を信用するしかないのが現状なのです。
写真はダイヤモンドでは珍しい天然ピンクダイヤモンドの指輪です。美しいピンクダイヤモンドは通常のカラーグレードとは切り離して価値判断がされます。