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映画インターステラーを観る前に(まずは概略)ネタバレなし【前編】

  • 2021/03/09 21:56
  • カテゴリー:映画


昨夜、インターステラーという映画を観ました。

←Amazonプライムのインターステラー

これ、無茶苦茶、面白いです。
僕的には今年ダントツのNo1かな?(今年はまだ3月だけど多分、ダントツ。しかもこの映画は2014年公開の古いものですが。。。)
今ならAmazonプライムなら無料視聴できますし、Netflixでも配信されています。

僕は完全にクリストファー・ノーラン監督のファンになりました。メロメロです。笑
今年の4月に限定2000部だけ発売される「メイキング・オブ・インターステラー」も予約しちゃいました。

←メイキング本

製作総指揮は物理学者であり、この映画の描写の9割は理論物理学で説明ができると言われている程、作り込まれています。
迫力のある映像が撮れる IMAX の高価な機材で撮影されているだけでなく、詳細に渡りリアリティを追及してるのです。
それでいて、家族愛、人間愛、そして追い詰められた人間の醜悪な恥部をも描いている。

以下、ネタバレはしませんので安心してお読みください。

インターステラーとは、日本語では星間を移動する者。
物語は近未来の地球。
環境変化で猛烈な砂嵐や植物の疫病が蔓延し、まともに植物が育たなくなり、急激な食糧難に陥る。
食糧確保に関連しない、すべての活動は停止され、人類はすべての英知を結集して農業に明け暮れる日々。

主人公のクーパーは元NASAのやんちゃなパイロット。
抜群の技術を持つが、NASAも廃止され、農業に明け暮れる。
従順で成績優秀の息子トムと、クーパーに似て奔放な娘マーフ。

当時、地球のあちこちで重力異常が観測され、クーパーの家や周辺でも重力異常は発生していた。
マーフの部屋でもその異変は起きており、部屋の中の場所によって重力が変化していた。
夜中に本棚から本が落ち、壁一面の本棚は歯抜け状態になる。

ポルターガイストだと怖がるマーフ。
エンジニアでもあるクーパーは、幽霊話には取り合わない。
「現象には理由がある。事実を記録して分析しろ。そして結論を出せ。」というクーパーの言葉にうなづくマーフ。

その言葉に基づき、子供なりに調査をしていく。
本棚のところどころ抜け落ちた場所をノートに記録すると、それはモールス信号ではないか?と彼女は疑う。

砂嵐が発生し、窓を閉め忘れたマーフの部屋には多量の砂が入り込む。
空中に舞い上がった砂が落ちるのだが、その砂の落ち方が均一ではなく斑模様で落ちていく。
そして、床に落ちた砂は、はっきりと太い線と細い線をあらわしている。クーパーは、怖がるマーフを兄のトムの部屋で寝かせ、その夜はマーフの部屋のまだら模様を調べる。

翌朝、マーフが部屋に戻ると、クーパーは「幽霊じゃない。重力異常だ。」とつぶやく。
「これはモールス信号ではなくバイナリーだ。太い線が1で、細い線が0。」
そして、0と1の羅列は座標であることに気付く。

その座標の場所は、クーパーの家からそれほど遠くない。
車で確かめに出かけると、そこには、鉄条網に囲まれた建物がある。
不法侵入で拘束されるクーパーとマーフ。

しかし、そこは廃止されたはずのNASAだったのだ。
そして、かつての上司であるブランド教授と再会する。

NASAが隠密で再開されてから久しく、そこで働くパイロットはシュミレーターでの飛行経験しかなかった。
実戦経験豊富で、優れた操縦能力を持つクーパーが「ラザロ計画」のチーフパイロットに抜擢される。

ラザロ計画とは10年前から動き始めている計画で、決死のクルーがすでにいくつかの候補惑星に渡っていた。
地球からの移住計画だ。
そして、その計画の最終ミッションが実施されようとしていたのだ。

すでに地球を離れた12名のクルーがそれぞれ12個の惑星をそれぞれ調査している。
最終ミッションでは、その中で人類が移住するのに最も適した星を絞り込み、次の2つのプランのいずれかを実施する、というもの。

プランAは惑星調査をして地球に帰還し、その後、巨大な宇宙ステーションを打ち上げて、たくさんの人をその星に移住させるというもの。
プランBは、なんらかの理由で帰還できない場合、調査船に積み込んだ5000以上のヒトの受精卵をその星で培養するというもの。

さてさて、ストーリー紹介はこの辺にしておきましょう。

この映画は IMAX で撮影されていだけでなく、詳細に渡りリアリティを追及しています。今どきは、CGを多用して撮影するのが当たり前ですが、500エーカーのトウモロコシ畑を作り、巨大な扇風機を使って砂嵐を起こして撮影した。
膝までの水の中を必死に移動するシーンではもちろん実際の水のある場所で撮影する。
氷の上を歩くシーンは本物の氷河へ遠征ロケを敢行してして撮影。

監督のクリストファー・ノーランを助けるのは、製作総指揮のキップ・ステファン・ソーン博士。
彼は高名な車いすの学者、スティーブン・ホーキンス博士と学問上の賭けをしたりしてる仲のよい理論物理学者です。
学術的なバックボーンとして作品を全面的に支えています。

ブラックホールやワームホールの映像を忠実に実現すべく、わずか1フレームの画像の作成に100時間もかけることもあり、総トータルでは、なんと、800テラバイトのデータを処理することになったそうです。
そんな計算から作成されたブラックホールの映像は、映画公開後の2019年に史上初めて本物のブラックホールの撮影に成功した写真にそっくりでした。

キップソーン博士は、この映画を撮影後、撮影準備のための調査や計算、研究結果を、製作協力会社スタッフと連名で2通の学術論文にまとめて発表しています。
ひとつはワームホールを映像化する上での計算の論文。
https://aapt.scitation.org/doi/pdf/10.1119/1.4916949

もう一つは、回転するブラックホールでの重力レンズについての論文。
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0264-9381/32/6/065001/pdf

論文が書けるほどのリアリティ。凄いと思いません?

また、キップソーン博士は、2017年「LIGO 検出器への決定的な貢献と重力波の観測」の功績により、なんと、ノーベル物理学賞も受賞しています。

しかし、この映画は科学論文の発表の場ではなく、エンターテイメントです。

ウィットに富んだAIロボットは、正直度やユーモア度を設定可能だったりします。(正直度90%、ユーモア度70%がよさそう。笑)
家族愛、人類全体を考える博愛、個人の醜悪なエゴにも注目するこの映画は、物理や天文学の理論理屈だけではない、人間の感情を描いています。

ハリウッド映画にありがちな、自分のエゴを優先するシーンがチョイチョイ出てきて、観ていてちょっとイラっとしますが、世の中(欧米人?)そういう人って結構多いんですかね?(僕の周りにはあまりいないので。。。ラッキーなのかな。)

さて、さて、ここまで読んでいただいた方は、ちょっとは観てみたくなったのではないでしょうか?

長くなったので、前編はここまで。

後編では、この映画を見るのに必要な物理学の下知識を簡単にご説明します。

後編へ

 

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