(続々)こうすれば日本は破綻しない
- 2021/03/05 21:02
- カテゴリー:経済
2012年の3月に「こうすれば、日本は破綻を回避できる!」という記事を書きました。あれから9年。(さらに昔の15年前には、インフレを覚悟すれば破綻しない、なんて書いてました。。。笑)
さて、その後、世の中でも様々な議論がされてきたこの問題。
少しだけVerUpして書いてみようと思います。
日本経済の破綻という話をすると、最近よく出てくるのが「MMT理論」です。
日本語だと「現代貨幣理論」というヤツですね。
こちらの理論には賛否両論あります。
結論から言うと、私は一定の条件を付ければ、MMT理論の通り経済破綻は防げると考えています。
この一定の条件というのは、現在の米国であれば、とか、今後、日本もある政策を取ることによって、成立可能というものです。
まずは、前提条件から整理します。
MMT理論についての詳しい内容はググっていただくとして、ここでは超シンプルに簡単に一言で説明します。(私の解釈ですが)
「政府債務が自国通貨建てなのであれば、どれだけ債務を発生させても国家破綻はしない。ただし、自国通貨のインフレでその責任を負うことになる。」
「政府債務が自国通貨建て」というのは、日本国が日本円額面の国債を発行して債務を負う場合などを言っています。
ギリシャが米ドル建ての国債を発行した場合はこの例には合致しません。(なのでギリシャは破綻した。)
要は、自国建て通貨であれば、お金を刷って返済すればよいということです。
問題は、後半の文章ですね。
「自国通貨のインフレでその責任を負う」の部分。
当然、たくさん自分の国の紙幣を刷りまくれば、世の中にお金が溢れるわけで、お金が供給過多になれば、その通貨の価値は減っていきます。
バブル崩壊後、長期間のデフレ下の不況(スタグフレーション)だったこともあり、日本政府は3%のインフレ目標を掲げています。(デフレはインフレの逆)
緩やかなインフレというのは害はあまりないのですが、急激なのはよくない。
その極端な例が、みなさんご存じのハイパーインフレ。
最近だと、「ジンバブエのハイパーインフレ」が有名ですね。
ジンバブエでは、債務返済の目的ではありませんが、政府が無尽蔵に自国通貨を刷りまくり同時に国内のモノが急激に減少したため、ハイパーインフレが発生。
一時は年率で2億%のインフレというので、昨年10ジンバブエドルだったリンゴ1個の値段が今年は2000万ジンバブエドルになる、ということです。
もう、夕食の買い物に持っていかないといけないお札の量は、財布に収まらないどころか両手で抱えても持ちきれなくなったわけです。
では、日本もそのハイパーインフレの道を歩むのか?
ここ数年、特に新型コロナ下の日本政府は日本円建ての国債を大量に発行し、それを日銀が引き受けています。
これは日銀が日本円を刷りまくっているのと、まったく同じ状況です。
んーー。今のままだとインフレは進むでしょう。
というか、すでにインフレは始まっていると思います。
さて、似たような政策をしている米国ではどうなのでしょう?
米国の発行する(厳密にはFRB連邦準備銀行は民間です)アメリカドルは、基軸通貨として世界中で使われています。
(FRBが民間銀行とか、基軸通貨って何?とか、そのあたりは過去ブログでも何度か説明しましたのでそちらをご参照ください。)
基軸通貨。
これはアメリカの誇る、世界に唯一の絶大な権力です。
各国の通貨は、毎日リアルタイムで、1US$=〇円などと交換レートが決まっています。
ここで、例えばオーストラリアドルと日本円のレートを見てみます。
今日のレートだと、1AU$=¥83.22となっています。
でも、これって、本当は直接交換できないんですよね。
実際には裏で、日本円→米ドル→AUドルへと変換されています。
各国通貨のレートは常に米ドルとのレートがリアルタイムで表示されるだけで、その米ドル換算で各国間の通貨を計算しているわけです。
各国の銀行は、SWIFT制度によって海外送金していますが、この制度も米ドルによって成立している制度であり、このシステム自体も米国が牛耳っています。
北の総統様のマカオ銀行口座が凍結されたのも、SWIFT制度により、その口座が特定されたと言われています。
そんな基軸通貨である米ドルは世界中で使われていますし、各国の銀行の金庫に保管されています。
そのため、ハイパーインフレにはなりづらい。(事実上ならない)
世界中の国や人々が保有しているのだから、その分母がけた違いに巨大なため、通貨発行の影響を受けづらいのです。
自国通貨の信用の薄い発展途上国は、政府が一定の米ドルを持つことでそれを自国通貨の裏付けとしている部分が大きい。
いわゆる、外貨準備高というものです。
(世界中の国々が保有する外貨準備の半分以上が米ドルです。)
先の例のジンバブエの人達は自国通貨ではなく米ドルでの支払いなら歓迎するでしょう。
いまだに、カンボジア人はちょっとまとまったお金が手に入ると米ドル預金をします。
20年前は街中でも流通している主通貨は米ドルで、1ドル未満の補助通貨がカンボジアリエルでした。
去年の春に訪れた時には、流石にリエルが流通していましたね。
でも、街中で米ドル紙幣で支払いをして断られることはほとんどありません。
あ、ちなみに、100ドル札は偽札が多いので断られることがあります。
おつりがない、とか。
20ドル札を多めに持っていくと便利です。(笑)
閑話休題
米ドルは、日本やその他の国の発行しているマネーサプライ(自国通貨発行量)とは桁が違うのです。
はい。
ここから先は9年前のブログの話にもつながります。
日本円をアジアの基軸通貨にしよう、という話。
この政策に実際に着手し、推し進めているのは中華人民共和国。
暗号通貨としての中国元を世界中に(まずは一帯一路諸国から)実現しようとしている。
だからこそ、米国では共和党も民主党も挙げての中国潰しの政策になっている。
世界で唯一の経済的優位性である基軸通貨の地位を脅かすものは、絶対に許さない、と。
さて、日本円。
基軸通貨ではないですが、日本円は主要通貨と言われています。
主要通貨と言われているのは、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、日本円の5通貨です。(中国元は入りません。)
この5ヵ国は、米国FRB連邦準備銀行と金額無制限、期限無期限の通貨スワップ協定を結んでいる国です。
この5ヵ国の中央銀行については、自国通貨暴落の危機が訪れた際、金額無制限で米ドルと自国通貨との交換が可能です。それも、返済期日未定で。
この安全弁は非常に大きい。
いわゆるローカルカレンシーとの違いというのは、この無制限スワップの有無でしょうね。
米国を入れた主要通貨6ヵ国は、それぞれの通貨の信用を相互に与えあってその価値を高め維持しているということです。
ただのローカルカレンシーである韓国が、米国や日本と同じように金融緩和をして民間にジャブジャブお金をばらまくと危険な理由はここにあるのです。
さて、冒頭の話に戻ります。
これらの理由から、基軸通貨の米ドルではMMT理論が通用し、国家破綻になる可能性も最も低い。
そして、主要通貨5ヵ国は、自国通貨を刷りまくっても国家破綻になる可能性は米国に次いで低い。
もちろん、これは限度によります。
限度を超えて刷りまくったら、米国は無制限スワップを解除するでしょう。
その意味は、主要通貨国からの脱落です。
だから、その範囲で、という話です。
さらにインフレを抑えるには、日本円経済圏を大きくしていくという政策が必要です。
それこそ9年前に書いたブログと目的は同じなのですが、うまくやらないとアメリカは牙をむくでしょう。
だからこそ、そこは日本ならではの方法で、巧妙に手段を考えないといけない。
(あの、Facebookがやろうとした仮想通貨リブラが米国政府に叩き潰された二の舞にならないように。)
例えば、米国不参加のTPP諸国に日本円を流通させるというのもよいでしょう。
TPPは単なる関税条約ではなく、一つの経済圏を目指したものなので、その経済圏で流通する通貨を日本円にする。(今の日本円なら、受け取りを拒否する国は少ないでしょう。)
100歩譲って、あるいは日本円を主とした通貨バスケットでもよいです。
その方が、すんなりと世界に認められるなら。(あるいは落し処として?)
また、TPPとは全然別の案としては、毎年膨大な予算を組んでいるODAを可能な限り円建てにするとか。。。
他にも手段はいろいろあるでしょう。
さて、今日の頭の体操はここまで。