日本の領土が盗られる日(戦争を起こす側の論理)
- 2010/07/12 23:56
- カテゴリー:グローバル
今日は選挙の翌日なのに、選挙とは関係ない話題です。
鳩山元首相の「沖縄の在日米海兵隊の意味を理解した」との発言。
世界中から一国の長としての見識を疑われ、失笑を買った言葉。
では、在日米軍の特に海兵隊の存在意義って、一般国民には認識があるのでしょうか?
ないでしょうね。そんな認識。
なので、世界中から笑い者になった首相はこの国の長として妥当?!
平和ボケした国と言われている日本には、象徴的な出来事かと思います。
ということで、今回はそんな話。
日本周辺やアジア周辺の地域で、対日戦争が起きるとしたらどんなシチュエーションが考えられるでしょう?
まず、戦争を起こす側の論理を考えてみましょう。
日本のように頭っから「戦争は駄目」と考えている国家とか指導者(政治家?)は少ない。
そこには損得やプライドなどが深く絡んでくる。
しかし、最終的に踏み切るかどうか?は、出口戦略による。
最終的な落とし所としての出口が見えないと戦争は仕掛けられない。
なので、実際に全面戦争は起きる可能性は低い。
全面戦争の出口は、どちらか一方の国の消滅や全面降伏。
ということは、全面戦争を仕掛けるとしたら、仕掛ける側は圧倒的な軍事力を持った側となる。
米国とイラクの戦争とか、その前のアフガンへの戦争がある。
イラクのフセイン政権打倒やアフガンはタリバン政権の殲滅を狙った戦争だったし、そして、その目的は、ある程度、果たされた。
ソビエト崩壊後、世界中で圧倒的な軍事力を持つのは米国のみと考える人が多い。
そうだとすると圧倒的な軍事力を持って他国が日本に攻め込む可能性というのは、米国が同盟国である以上、ないと言えるだろう。
では、どんな戦争が現実的に起こりうるのか?
小規模な局地戦闘は起こる可能性がないのか?
小規模な局地戦の現実的な出口戦略とは?
アジア地域の核保有国はインド、パキスタン、中国、北朝鮮。
日本周辺で考えると中国と北朝鮮がある。
北朝鮮との戦争という可能性を考えると存亡を賭けた戦争という形が頭をよぎる。
窮鼠猫を噛むの状況で戦争を起こしても、有利な出口戦略は困難だ。
せいぜい自国が壊滅する道連れを増やすことしかできない。
では、中国はどうだろうか?
したたかに考え、出口戦略を持った上で戦闘を仕掛ける可能性はないのだろうか?
今までなら考えづらいが、今後、日米安保が危ぶまれ、一定の条件が発生するとあり得るかもしれない。
もちろん中国は、全面戦争を仕掛けるような愚は起こさない。
ごく小規模な紛争であれば、理にかなう紛争を起こす可能性がある。
(あくまで、彼らの理でしかないが、彼らにとっては利でもある。)
自国に火種を抱えており、国民の目を内政から背けるには、外の敵に対しての団結を即すのが、古来からの常套手段とされてきた。
例えば中国古来の領土を取り返そう!とか言って、尖閣諸島の領有権を主張する。
尖閣諸島やその周辺の海底資源の獲得には、経済合理性が伴う。
尖閣諸島周辺には、1000億バレルを超えるイラクの埋蔵量に匹敵する原油があるとの国連の調査結果があるからだ。
そして、この地域での軍事行動は、台湾に対する威嚇にもつながる。
(台湾よ、どちらにつく?次はお前だよ、って。)
しかし、在日米海兵隊の存在がある。
海兵隊は、陸軍にも海軍にも空軍にも属していない。
属さないどころか、M1エイブラムス戦車を持ち、ホーネットやハリヤーといった戦闘機も持つ、陸海空3軍に次ぐ、第4軍とも言える精鋭の部隊だ。
紛争が発生した時の初期出動の部隊で、敵地を強襲し地域を制圧確保する能力を持つ部隊が海兵隊である。
海兵隊がまず偵察強襲し、地域を確保し、次の段階では、その地域に海軍の揚陸艦や空軍の輸送機が主戦力を送り込む。
つまり、海兵隊が存在せず、陸海空軍のみでの戦争遂行は困難だ。
沖縄からなら中国本土はもちろん、東シナ一帯の地域までヘリコプターで強襲できる。
佐世保の第7艦隊と連携し、一体化した作戦展開が可能なのだ。
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この海兵隊が沖縄からいなくなったら、どうなるか?
ニヤリとする中国政府と、横で腹を抱えて大笑いする北朝鮮。
そんな風景が目に浮かぶ。
沖縄の海兵隊がグアムかどこかに移動され、日米安保がぎくしゃくしている状況下で、周辺国はどんな戦略が考えられるか?
グアムからはヘリコプターでは中国はおろか日本にも辿りつけない。
航空機で海兵隊をグアムから運ぶのであれば、グアムでなくて米国本土から運んでも大差はない。
ヘリで即応するのと、航空部隊で送り込むのとでは大きく違う。
もちろん第7艦隊との連携などは、これまで以上に難しくなるし、海兵隊がいないなら、第7艦隊を佐世保に置く必要性も疑問だ。
先述の中国の内政事情。
中国は尖閣諸島の領有のみを目指すもので、日本本土や在日米軍にまったく興味はないと主張しつつ、米国との水面下で交渉する。
米軍は尖閣諸島防衛のために、自国軍の血を流すとは思えない。
かくして、これらの条件の元、短期的な地域紛争を黙認する条件が整う。
(そもそも米軍は日本国民のために日本に駐留しているのではなく東アジアにおける米国利益のために存在している。日本も重要ではあるが、あくまで駒のひとつだ。)
在日米軍が戦ってくれないのならどうする?
これまで世界第5位の軍事費をがぶ飲みしてきた自衛隊は?
自国防衛の戦争だとしても、自衛隊単独での戦争はできない。
法整備はできていないし、政府にも国民にも、その覚悟はない。
占領されるのを見守り、国連に訴えると声を枯らすのが精一杯だろう。
そもそも、弾薬は有事になってから生産する仕組みなので弾はない。
弾があったところで、防衛出動でもない限り正当防衛以外では撃てない。(自衛官も殺人罪に問われる。)
日本の軍事費は米国の軍産複合体を太らせるために存在している。
イージス艦やら、戦闘機やら、箱モノや装備にかけては上得意様だ。
しかしその兵器運用は、基本的に自衛隊は米軍の補助的な役割りを担うためにしか存在していない。
平たく言うと、米軍抜きの自衛隊運用など、想定されていない。
一瞬で占領された尖閣諸島に日本国民は住んでいない。
日本国民が住んでいない島の周辺を囲む中国軍に、日本はミサイルを撃ちこむ勇気を持ち合わせているだろうか?(撃てば撃ち返される。)
相手国がほとんど銃火を交えずに占領した地域を、爆撃して中国兵を殺せるだろうか?
日本国中が上を下への大騒ぎをしている内に、尖閣諸島は中国固有の領土であるという中国の訴えに同調する国も現れる。
中国は国連の不利な採択には、拒否権を発動する。
日本の国境に浮かぶ無人島を、自国兵の血を流してまで助ける責任は米国にもなく「2国間の個別の領土問題には踏み込まない」との見解を米政府は発表する。
そんなことをしている間に、軍事的に占領されている尖閣諸島周辺の開発は中国の手で行われていく。
日本が領土を失うシナリオだ。
日本以外のすべての国は、侵略者に対して躊躇なく砲撃するし爆撃し、自国領土を守る。
そのために主権国家は存在するのだから。
そんなシナリオを現実のものにしない為にどうしたらよいか?
他人事ではなく、自分事なんですけどねー。