野生動物保護か?見世物か?
- 2010/08/11 07:24
- カテゴリー:ダイビング
私は先週ちょっと早めの夏休みをいただいておりました。
夏休みは、ほぼ毎日海に出ていましたよー。
砂浜か、海の上か、海の中のいずれか。
海の中と言えば、ジンベイザメを見てきました。
千葉の定置網にかかったジンベイザメをイケスで保護しているというのをTwitterで聞きつけ、行ってきたのでした。
ジンベイザメは5m程度の小さな奴。
とはいえ、小さくても5mですから、迫力がありました。
スキューバタンクを背負って海底で待つこと3分。
真上を横切るジンベイザメ。
お腹にはコバンザメがくっついていました。
このジンベイザメ。
「波佐間水中公園」という民間営利企業が保護しているのですが、掲示板では様々な意見が交わされています。
最左翼は「かわいそう!尊い命を、即刻、海へ返せ」というもの。
最右翼は「ジンベイザメ見たい!楽しみ!」というもの。
さて、このジンベイザメはどういう経緯でイケスに入れられて、入場料を支払った人達に観察されるようになったのでしょうか?
ダイバーだけでなく、船底が透明の遊覧船での観察も可能です。
(大人1000円、子供500円。)
千葉館山波佐間港の定置網は黒潮をもろに受ける場所にあるため、昔からマンタやマンボウがかかることで有名でした。
漁師にとっては海洋大型生物は商品となる魚を傷付けてしまうので招かれざる客です。いわば、迷惑な厄介者です。
どこの定置網でも同じだと思うけど、漁師は自分達の生活を守る為、厄介者が網にかかると人知れず処分していた訳です。
これを知った、あるダイビングショップ&観光遊覧船の社長さん。
「定置網に海洋大型生物がかかったら教えてくれ。買い取るから。」という話を漁師にします。
漁師としては生活の糧が保証されればよいわけで、網にかかった魚が売れても、間違ってかかった海洋大型生物が売れても構わない。
それ以降、商品となる魚を傷付けてしまうマンタやマンボウがかかると、処分されるのではなく、その社長に連絡が入るようになりました。
その社長は商品が台無しになるのに見合う金額で、その海洋大型生物を買い取りイケスに放し、投資額を回収した後、海に帰してあげています。
これにより命を救われたマンボウやマンタは数知れず。
でもって、その社長さんは青色のポルシェに乗っています。
(合計2台のポルシェを所有。青と緑だったかな?)
イケスに入れた生き物は、ちゃんと愛情注いで飼育しています。
最初のころはマンボウと同居していたジンベイザメも、少しでも快適に過ごせるようにか、今ではたった1匹のジンベイが大きなイケスを独占しています。
「すぐにでも海へ解き放て!」という掲示板への書き込みがやまない。
中には館山市長に訴えかけている人もいる様子。
彼らは定置網から生きて救出される為にどれだけのお金がかかっているのか、知っているのだろうか?
もちろん、利益追求の営利企業が行っているので、経費をぎりぎり回収したら、即、海へ解放される、というわけではない。
十分に利益を生んだ後に、海に帰されるのではあるが。
何事も、伝聞だけでは実際のところはわからない。
私自身が、行って、話を聞いて、潜って、見てみて、感じたこと。
営利目的とはいえ、人知れず処分されていく海洋大型生物を助けるためによくやっていると思う。
儲けているからか、地元にも敵が多いが、がんばれ!波佐間海中公園!と言いたい。
でもね、次に館山で潜るとしたら、別のショップに行くだろうなー。
ここは営利目的が強すぎて、お客さばきも、流れ作業なんですよねー。
もちろん、ジンベイ騒ぎで混んでいるせいもあるが、数年前に訪れた時も流れ作業は一緒だったので、そういうショップなのでしょう。
それでいて値段も高い。
ま、ジンベイ料金込みですからしゃーないのかもしれないが。
(ジンベイの餌代ならよいが、ポルシェの部品代だと嫌だな。)
1km程先に、ジャックマイヨールの親友だった方のダイビングショップがあり、そちらはアットホームなサービスでした。(手作りカレーが絶品!)
昔々、スピアフィッシングからダイビングを始め、サルベージ等も行っていたという気さくなオーナーが経営する、こじんまりとしたショップ。
人工的に海底に神社を作ったり、イケスにマンボウ入れたりといったことはしておらず、数は少ないが、純粋に美しいポイントを売りにしている。
(伊豆に負けていないポイントがある)
シャワーもなく、閑古鳥が鳴いているものの、常連達が支えている。
ダイバー人口が減っているので、閉鎖ぎりぎりのショップが多い。
でも、また行くなら、そちらのお店かなー。
夏休み、終わってみるとあっという間ですね。
皆さまもよい夏をお過ごしください!