高速道路一部120km/h化が法改正なしっておかしくない?
- 2021/05/18 05:27
- カテゴリー:法律
去年の暮れから、一部の高速道路の最高速度が120km/hに変更されました。
それまでは、日本の高速道路では最高速が100km/hだったので、道路が整備されている3車線の道などは、より実情に近くなったと言えるでしょう。
私が思うのは、そのプロセスが問題だと思っています。
道路交通法には、次の通り書かれています。
第二十七条 最高速度のうち、自動車が高速自動車国道の本線車道(次条に規定する本線車道を除く。次項において同じ。)を通行する場合の最高速度は、次の各号に掲げる自動車の区分に従い、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。
一 次に掲げる自動車 百キロメートル毎時
以下、略
道路交通法が改正されて、最高速度が120km/hになったのなら、法律に基づく話であり、法治国家として正しいと思う。
でもね、今回の120km/hへの一部引き上げは道路交通法の改正ではなく、単なる警察庁による交通規制基準の改正だけでやっちゃっているそうな。
警察庁というのは行政府の一つの省庁にすぎない。
彼らの行動規範は法律。
法律の通りに国家権力を行使し、この国を守るのが彼らの仕事。
それなのに、法律に書かれている最高速度を勝手に変更する(というと語弊があるが、詳しくは後述)権限が、この国では彼らに与えられているらしい。
実際、法改正されていない証拠に、その他の高速道路ではこれまでどおり、制限速度が100km/h区間において最高速度の表示はない。
道路交通法の最高速度が120km/hに変更されたのなら、全国の高速道路に「100km/h規制の標識」を設置せねばならないからだ。
その設置費用がどうの、とか言うつもりはない。
そんなことを言っているのではなく、行政というのは法律を適正に執行することによりこの国を維持する役割なのに、その基準を国会が制定する法律ではなく、警察庁による交通規制基準の改正という、いわば内部的な手続きで変更できるということ。
平たく言ったら、国会の審議も経ず、法改正もされず、今日までは交通違反として検挙されていたのが、明日からは交通違反ではなくなるわけだ。
警察官僚って、そんなに偉いの?
実は、今回の行政による運用変更の法解釈の基礎になっているのは、道路交通法の次の条文だ。
道路交通法第22条
1.車両は、道路標識等によりその「最高速度が指定されている」道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
ざる法ですね。道路交通法。
つまり、行政府である、警察の気分次第で、最高速度を150km/hでも200km/hにでも変更できるのです。
欧米の契約文化ではこういうことはないでしょう。
法律で細かく規定する。
問題があれば司法が判断する。
それが三権分立の考え方。
日本は違う。
あいまいな法律を制定し、行政の裁量にゆだねる文化。
官僚支配と言われるゆえんですね。
もちろん、欧米式がなんでも正しいとは思わないし、日本文化の良いところも沢山ある。
でもさ、お上(官僚)の判断にゆだねる文化があちこちで弊害を招いているのも事実です。
政治家のレベルが低いことが原因なのでしょうね。
政治家の本当の仕事って、法律を作ること。なんせ、日本唯一の立法府の構成員なのですから。
国会でつまらない議論をするのが仕事ではない。(はず。)
実際に現職の国会議員で法律を作る能力のある人って、どれだけいるのだろう。
この国には「議員立法」という不可思議な言葉がある。
この国唯一の立法府の構成員である国会議員が提案する法律を、わざわざ議員立法という。
対する言葉として「閣法」というのがある。これは、内閣による発議の法律案。
実際に成立している法律を見ると、そのほとんどが閣法によるもの。(昔に比べたら議員立法も増えてはきたが。。。)
そもそも、内閣って行政府じゃないの?
議院内閣制だから、行政府の長である以前に立法府の一員でもある。
だから、いいでしょ、って。
でもさ、閣法の発案元って、官僚なんですよね。
行政府の各執行機関である省庁が法律を作るっておかしくないの?
自分達が守るべきルールを自分達で作る。おいおい。
手弁当ってやつか?笑
行政というのは、いわゆる「国家権力」という言葉もある通り、国民に対して強い権限を持つ。
だからこそ、彼らの行動は法律によって強く規制されなければならない。
というか、法律に基づいた権限のみが与えられている、、、はずなのだが、実際は自分達で法律作って、自分達で運用している。
政治家が法律を作れないから、しゃーないやん。
政治家のレベルは国民のレベルって言うから、僕ら国民のレベルの問題。
まだまだ、未開の国ですね。日本。