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~中学生でも理解できる相対性理論~ インターステラーを観る前の予備知識として(ネタバレなし)【後編】

面白い映画です、クリストファー・ノーラン監督のインターステラー
Amazonプライムビデオで昨夜観ました。

←Amazonプライムのインターステラー

この映画の概略説明とか簡単なあらすじは、前編でネタバレしない程度にご説明していますので、そちらをまだ、ご覧になっていない方は、ぜひそちらからご覧ください。

ここから先は、実際に楽しく観るために必要、というか、あった方がよい知識についてご説明します。
最低限を押さえておかないと、観ていて意味がわからない、ということになってしまいまーす。

1.高速で移動すると時間は遅く進む
2.強い重力によって時間は遅く進む
3.ブラックホールとワームホールって、どんなもの?

この3つは押さえておきたいポイントです。

ふーん。そんなのはわかっているよ、という方は、ここから先は読まないでよいでーす。
すぐに映画の再生ボタンを押しましょう。

さて、さっきの3つを簡単に説明。

1と2はアインシュタイン先生の相対性理論の話ですね。
1は特殊相対性理論で、2は一般相対性理論の話。

では、まず、最初に「高速で移動すると時間は遅く進む」の話から。

a.距離=速度×時間

この式、小学校の頃、習いましたよね?
時速60km/hで、1時間走ったら、60km移動できる、という計算式。
aの式をちょっと、いじってみると、bの式に変換できます。

b.速度=距離÷時間

aの式のイコールの両側を「時間」で割っただけです。
aの式が成り立つなら、当然、bの式も正しいはずです。

突然ですが、ここで実際に光の速度を測定してみると、光というのは常に同じ速度(秒速30万km)なのでした。
これは、事実として受け入れます。(いつ、どこで、誰が測っても30万km/sなので、そうなんでしょう。)

ということは、bの式の左辺の「速度」を「光の速度」に置き換えると常に同じ30万km/sなので、増えたり減ったりできるのは「距離」と「時間」の方になります。
距離=空間なので、時間と空間は伸びたり縮んだりするという意味なのです。(おぉ!)

というか、逆に言うと、光が30万km進むのにかかる時間が1秒だ、とも言えます。

はい。わかりづらいですねー。
(よくわからん、という方も、とりあえずこのまま読み進めてみてください。)

では、ここで1番の「高速で移動すると時間は遅く進む」とはどういう話か?を実例を挙げて考えてみましょう。

A地点とB地点が、30万km離れているとします。
AとBを光ファイバーでつないで、AからBに向かって光ファイバーを通して光を発射します。(実際には光ファイバーを使うと光の速度は遅くなるのですが、ここでは無視します。)

距離がちょうど30万kmなので、ちょうど1秒後に、B地点に光が到達します。(光は常に30万km/sなので。)

では、AとBがすごい勢いで、一緒に横に移動しながら光を発射すると、どうなるでしょう?
AとBのお互いの距離は常に30万kmですが、外から見たら、光が進むのは斜めに進んでいきます。
Aが光を発射した場所から、Bが光を受取る場所までは、受取るまでに移動した距離分、光は斜めに進むことになるからです。

つまり、高速で移動しているAとBの間は、外から見たら斜めなので30万kmよりも長くなります。よって、1秒間では光が届かないのです。

これが、高速で移動していると時間がゆっくり進む仕組みです。

高速で移動している人同士は1秒間だと思っている時間が、静止している人にとっては1秒以上なのです。
だから、すごいスピードで宇宙旅行をして帰ってきた人の腕時計は、地球でじっとしていた人の時計よりも遅れているのです。

はい。あなたは特殊相対性理論を理解しました。笑

次に2番の、「強い重力によって時間は遅く進む」話を説明しましょう。

重力とはなんぞや?
目に見えないのでわかりづらいです。
では、目に見えるかたちで表現してみましょう。

重力とは質量の大きいものほど強い重力を持ちます。

これをイメージするには、ピンと張った布の上にボールを置いてみるとわかりやすいです。

トランポリンのような布に、ボウリングの玉と、野球のボールを置きます。
当然、ボウリングの玉の方が深く沈みますよね。
野球のボールは質量が少なく軽いので、あんまり沈まない。

そして、野球のボールはボウリングの玉に引き寄せられていくでしょう。
近くに置いてあれば、野球のボールはまっすぐボウリングの玉にゴツンと当たってくっ付きます。
ある程度離れたところから段々勢いがついて引き寄せられた場合は、ボウリングの玉の周りを何周か回って近づきつつ勢いが弱くなり、やがてくっ付く場合もあるでしょう。

これが重力のイメージです。
(星と星の動きにも似ていますね。)

さて、先ほどのA地点とB地点を光ファイバーで結んで、これをこの布の上に置きます。
30万km離れたAとBが同じ布の上に置かれているとします。(でっけー布だ。)

そしてその真ん中に、ボウリングの玉を置く。

そうすると、そのボウリングの玉の周辺は下に沈むので、光ファイバーもその沈みに沿って引かねばならない。

そうです。
距離は30万km離れていても、途中にボウリングの玉があると、布が沈み込む分だけ、光ファイバーの距離は長くなり30万kmでは届かないのです。

先ほどの高速移動している時と同じように、長い距離を光は移動しないとならなくなる。
つまり、重力で沈み込んでいる分だけ、時間が遅く進むのです。

はーい。
これで、一般相対性理論の概略もマスターしましたね!笑

ふぅ。疲れました。
でも、あと、もう少し!

 

3番のブラックホールとワームホールについて。

皆さんご存知、ブラックホールは光をも呑み込んでしまう強力な重力を持つ天体です。
先の2番のポイントのとおり、強力な重力を持つので、近づくだけで時間はゆっくり進んでいきます。

そして、どんどんブラックホールに近づいていくと、近づくにつれ重力の力も強くなり、やがて、光の進む力よりも重力が強くなる場所があります。
その場所を事象の地平面(event horizon)と言って、ここから先は光も重力に負けて出てこられません。
よって、この先は外から覗いても何も見えないのです。(外から観測不可能)

さらに進んで行きましょう。
進めば進むほど重力がドンドン強くなっていき、その結果、時間がさらにゆっくりになっていきます。
さらに、さらに、進んで行くと、あるところで、時間の進行がゼロになる地点に到着します。
この場所を、特異点(singularity)と言います。
時間がゼロなので、それ以上先には進めません。

よって、特異点より内側がどうなっているかは、現代物理学では説明できないのです。
特異点の内側は、相対性理論ですら説明できない領域なのです。

これを解くには「超ひも理論」なんていうのがあるのですが、この理論は10次元まで存在していないといけなくって、4次元の世界でも理解するのにヒーヒー言っている僕にはよくわかりません。

この映画では、「超ひも理論」を発展させたM理論というものを使ってブラックホールの内部を映像化したらしいのですが、ま、この辺はこの映画を単に観る上では理解する必要はありません。

ふーん。
そんな理屈を使ってブラックホールの内部を表現したのかー、程度でOK。(というか、僕も理解できていない。誰か教えて!)

 

さてさて、最後にワームホール

ワームホールは時空のゆがみです。
時空っていうのは、時間と空間のことでしたね。

ところで、1次元は点。
2次元は平面です。
3次元は立体。
これに時間が加わると4次元です。

僕らは3次元の住人なので、コントロールできるのは3次元までです。

ひとつ上に隣接する4次元までは、理解することができてもいじれない。
時間の流れについては理解はできるけど、コントロールができない。
それが僕ら3次元の限界なのです。

紙に書いた(2次元の)離れた2つの場所は、線で結ぶと遠いのだけど、紙を折り曲げてくっ付けると距離がゼロになっちゃう。
僕ら3次元の住人は、2次元の世界はコントロール可能だし、理解しやすい。

これと同じことが3次元の世界で起きた場所が、ワームホール。
時空のゆがみでくっついちゃっている場所。

相対性理論の理論上、ワームホールの存在が否定できない、という話であって、まだ、実際には一つも発見されていない。
僕が子供の頃に読んだ本には、ワームホールはブラックホールの出口、なんて書いてある本もあったかな。

さて、宇宙旅行の話。

普通、500万光年とか離れた別の銀河には、光の速度で500万年もかかるわけだから、人間の移動はまず無理です。(最も近いお隣のアンドロメダ星雲まででも250万光年離れている。)

だけど、時空が歪んで、離れた場所同士が直接つながっているワームホールをくぐっちゃえば、遠く離れた場所にも即座に移動ができるという理屈。

このワームホールが太陽系の近くにあれば、そのワームホールの出口のなんとか星雲まで、何千光年の旅を一瞬でできちゃうよねー。

宇宙の「どこでもドア~♪」みたいですねー。
ただ、もし、見つけても、僕ら3次元の人ではコントロールできないので、つながっている場所にしか行けませんけどね。


はい。これで説明は終わりです。
これ以上の説明をすると、ネタバレになってしまうので、今はしません。

メイキングの本が届いたら、それを読みながら、インターステラーを観終わった人向けのブログを書いてみようかな。

さらに踏み込んだ理屈を一緒に勉強しましょう!


さてさて。
これぐらいを押さえておけば、このインターステラーという映画を楽しく観られること間違いなし!

3時間近い映画ですが、観ていてあっという間です。
今週末あたりに、ぜひどうぞ。

←早速映画を観る

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映画インターステラーを観る前に(まずは概略)ネタバレなし【前編】

  • 2021/03/09 21:56
  • カテゴリー:映画


昨夜、インターステラーという映画を観ました。

←Amazonプライムのインターステラー

これ、無茶苦茶、面白いです。
僕的には今年ダントツのNo1かな?(今年はまだ3月だけど多分、ダントツ。しかもこの映画は2014年公開の古いものですが。。。)
今ならAmazonプライムなら無料視聴できますし、Netflixでも配信されています。

僕は完全にクリストファー・ノーラン監督のファンになりました。メロメロです。笑
今年の4月に限定2000部だけ発売される「メイキング・オブ・インターステラー」も予約しちゃいました。

←メイキング本

製作総指揮は物理学者であり、この映画の描写の9割は理論物理学で説明ができると言われている程、作り込まれています。
迫力のある映像が撮れる IMAX の高価な機材で撮影されているだけでなく、詳細に渡りリアリティを追及してるのです。
それでいて、家族愛、人間愛、そして追い詰められた人間の醜悪な恥部をも描いている。

以下、ネタバレはしませんので安心してお読みください。

インターステラーとは、日本語では星間を移動する者。
物語は近未来の地球。
環境変化で猛烈な砂嵐や植物の疫病が蔓延し、まともに植物が育たなくなり、急激な食糧難に陥る。
食糧確保に関連しない、すべての活動は停止され、人類はすべての英知を結集して農業に明け暮れる日々。

主人公のクーパーは元NASAのやんちゃなパイロット。
抜群の技術を持つが、NASAも廃止され、農業に明け暮れる。
従順で成績優秀の息子トムと、クーパーに似て奔放な娘マーフ。

当時、地球のあちこちで重力異常が観測され、クーパーの家や周辺でも重力異常は発生していた。
マーフの部屋でもその異変は起きており、部屋の中の場所によって重力が変化していた。
夜中に本棚から本が落ち、壁一面の本棚は歯抜け状態になる。

ポルターガイストだと怖がるマーフ。
エンジニアでもあるクーパーは、幽霊話には取り合わない。
「現象には理由がある。事実を記録して分析しろ。そして結論を出せ。」というクーパーの言葉にうなづくマーフ。

その言葉に基づき、子供なりに調査をしていく。
本棚のところどころ抜け落ちた場所をノートに記録すると、それはモールス信号ではないか?と彼女は疑う。

砂嵐が発生し、窓を閉め忘れたマーフの部屋には多量の砂が入り込む。
空中に舞い上がった砂が落ちるのだが、その砂の落ち方が均一ではなく斑模様で落ちていく。
そして、床に落ちた砂は、はっきりと太い線と細い線をあらわしている。クーパーは、怖がるマーフを兄のトムの部屋で寝かせ、その夜はマーフの部屋のまだら模様を調べる。

翌朝、マーフが部屋に戻ると、クーパーは「幽霊じゃない。重力異常だ。」とつぶやく。
「これはモールス信号ではなくバイナリーだ。太い線が1で、細い線が0。」
そして、0と1の羅列は座標であることに気付く。

その座標の場所は、クーパーの家からそれほど遠くない。
車で確かめに出かけると、そこには、鉄条網に囲まれた建物がある。
不法侵入で拘束されるクーパーとマーフ。

しかし、そこは廃止されたはずのNASAだったのだ。
そして、かつての上司であるブランド教授と再会する。

NASAが隠密で再開されてから久しく、そこで働くパイロットはシュミレーターでの飛行経験しかなかった。
実戦経験豊富で、優れた操縦能力を持つクーパーが「ラザロ計画」のチーフパイロットに抜擢される。

ラザロ計画とは10年前から動き始めている計画で、決死のクルーがすでにいくつかの候補惑星に渡っていた。
地球からの移住計画だ。
そして、その計画の最終ミッションが実施されようとしていたのだ。

すでに地球を離れた12名のクルーがそれぞれ12個の惑星をそれぞれ調査している。
最終ミッションでは、その中で人類が移住するのに最も適した星を絞り込み、次の2つのプランのいずれかを実施する、というもの。

プランAは惑星調査をして地球に帰還し、その後、巨大な宇宙ステーションを打ち上げて、たくさんの人をその星に移住させるというもの。
プランBは、なんらかの理由で帰還できない場合、調査船に積み込んだ5000以上のヒトの受精卵をその星で培養するというもの。

さてさて、ストーリー紹介はこの辺にしておきましょう。

この映画は IMAX で撮影されていだけでなく、詳細に渡りリアリティを追及しています。今どきは、CGを多用して撮影するのが当たり前ですが、500エーカーのトウモロコシ畑を作り、巨大な扇風機を使って砂嵐を起こして撮影した。
膝までの水の中を必死に移動するシーンではもちろん実際の水のある場所で撮影する。
氷の上を歩くシーンは本物の氷河へ遠征ロケを敢行してして撮影。

監督のクリストファー・ノーランを助けるのは、製作総指揮のキップ・ステファン・ソーン博士。
彼は高名な車いすの学者、スティーブン・ホーキンス博士と学問上の賭けをしたりしてる仲のよい理論物理学者です。
学術的なバックボーンとして作品を全面的に支えています。

ブラックホールやワームホールの映像を忠実に実現すべく、わずか1フレームの画像の作成に100時間もかけることもあり、総トータルでは、なんと、800テラバイトのデータを処理することになったそうです。
そんな計算から作成されたブラックホールの映像は、映画公開後の2019年に史上初めて本物のブラックホールの撮影に成功した写真にそっくりでした。

キップソーン博士は、この映画を撮影後、撮影準備のための調査や計算、研究結果を、製作協力会社スタッフと連名で2通の学術論文にまとめて発表しています。
ひとつはワームホールを映像化する上での計算の論文。
https://aapt.scitation.org/doi/pdf/10.1119/1.4916949

もう一つは、回転するブラックホールでの重力レンズについての論文。
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0264-9381/32/6/065001/pdf

論文が書けるほどのリアリティ。凄いと思いません?

また、キップソーン博士は、2017年「LIGO 検出器への決定的な貢献と重力波の観測」の功績により、なんと、ノーベル物理学賞も受賞しています。

しかし、この映画は科学論文の発表の場ではなく、エンターテイメントです。

ウィットに富んだAIロボットは、正直度やユーモア度を設定可能だったりします。(正直度90%、ユーモア度70%がよさそう。笑)
家族愛、人類全体を考える博愛、個人の醜悪なエゴにも注目するこの映画は、物理や天文学の理論理屈だけではない、人間の感情を描いています。

ハリウッド映画にありがちな、自分のエゴを優先するシーンがチョイチョイ出てきて、観ていてちょっとイラっとしますが、世の中(欧米人?)そういう人って結構多いんですかね?(僕の周りにはあまりいないので。。。ラッキーなのかな。)

さて、さて、ここまで読んでいただいた方は、ちょっとは観てみたくなったのではないでしょうか?

長くなったので、前編はここまで。

後編では、この映画を見るのに必要な物理学の下知識を簡単にご説明します。

後編へ

 

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