ダイヤモンドを買うときに

あなたはダイヤモンドを選ぶときになにを基準に選んでいますか?
他の宝石と違い、ダイヤモンドには鑑定書というものがつくものがあります。

(他の宝石は通常鑑別書が添付されます。)
すべての商品に添付されるのではなく、一個石のもので、一般的にはある程度のグレード以上の商品に添付されます。
(鑑定書がついているイコール高品質ということではありません。)*1
本物のダイヤモンドであれば、どんなグレードの石でも鑑定書をとることはできます。
 この鑑定書を見てみると次の4つの事項について書いてあります。

   カラット
   カラー
   クラリティー
   カット

それぞれのグレードのバランスのとれているものが良いのは言うまでもありません。
どんなにカットグレードが良くてもクラリティーがI2やI3では美しくありません。
カラーグレードがDカラーであってもカットグレードがプァーではきれいに輝きません。
それほど極端ではないにしろ、日本人に多い選び方として次のような方が多いように思います。

「小さくてもいいから最高のグレードのものが欲しい!」

これはひとつの価値観です。
 しかし、私が思うにこれは賢い買い方であるとは思いません。
たとえばカラーグレードがD、クラリティーがフローレスないし、インタナリフローレス、カットグレードがエクセレントの石があったとします。
もし、この石が1キャラットを超えるものであれば非常に珍しいものです。
予算があえばぜひ手に入れたいものです。
大きさによっては2度と手に入らないかもしれません。
ただし、0.1キャラットの石ならどうでしょう。
こんな石(失礼!)を買って製品にしてもまったく見栄えはしません。
見栄えはしないけれど値段ばかりが高額の商品になってしまいます。

 購入するダイヤモンドのグレードを決める条件として使い道は大きなポイントです。
たとえば、普段着につけるプチネックレスを買うのと婚約指輪を買うのでは同じ選び方をすべきではありません。
プチネックレスを買うなら次にあげるグレードで十分でしょう。

  カラー G または H(プラチナ枠の場合、金枠ならそれ以下でもよい。)
  クラリティー    Si1 ないし Si2
  カット      グッド

グレードをこの条件にするとトッピンクラスのものを選ぶよりかなり大きい石を選ぶことができるでしょう。
鑑定書を首から下げて歩くわけではあるまいし、肉眼で見てきれいなグレードなら十分だと私は思います。
 しかし、婚約指輪となると少し様子は違ってきます。
一生のうちそう何度も買うものではないでしょうし、この先何十年も使うものかもしれません。
この婚約指輪についてでも私は次に上げるグレードで十分だと思います。

  カラー       E または F
  クラリティー    Vs1 または Vs2
  カット       グッド または ベリーグッド

このあたりの基準は人によって評価の分かれるところですが、婚約指輪だからといって、あまりグレードばかり気にして小さな物を選ぶより、そこそこのグレードで大きいものを選んだ方が、後々良いのではないでしょうか。
宝飾品販売店ではグレードのひたすら良いものを勧めることが多いと思います。*2
良いものを勧めておけばとりあえず間違いはないというのが最大の理由でしょうか。
しかし、宝石販売に携わっていると、婚約指輪が小さいので大きな石に買い換えたいというニーズがなんと多いことかと思います。
一生使うものだからこそ、ある程度の大きさも必要だと思います。
0.3キャラットのDカラー、VVS1、エクセレントカットのダイヤモンドを買う予算で、Fカラー、VS2、グッドカットのダイヤモンドならかなり大きなものが買えます。
指につけて使用していてもそれほどの輝きの違いは見うけられないでしょう。*3
もちろんきれいに洗浄して適切な光を当て適切な背景色の上で並べて比べてみれば違いがわかるかもしれません。
ただし、ダイヤの表面に指紋やファンデーションがついていたり、適切な照明のもとでなかったりするとプロの目でも適切な判断は下せません。
ましてや、最近はやっている「ハートアンドキューピッド」という、裸石の状態で光をあてるとカットの具合で、ハートのマークや矢のマークが浮き出てくるというものがあります。
「ハートアンドキューピッド」に特別の思い入れのある人は除いて、それほどの意味があるとは思えません。
「ハートアンドキューピッド」のダイヤモンドとそうでないダイヤモンドを製品の状態で指にはめてみて肉眼で違いを見極めることのできる人はプロを含めてまずいません。
(それでもハートがでる方がかわいい!!という人も多いかもしれませんが・・・)
いづれにしても、自分の使い道をよくお店の方に理解してもらってからアドバイスを受けましょう。

*1 結構、世の中にはいい加減な鑑定書も出回っていて、たとえばテーブル面とガードル部分に比べて極端に小さい(約30%しかない)のにカットグレードがベリーグッドになっているものもありました。

*2 特にカットグレードの極端によいものを勧める傾向があるようです。

*3 ダイヤモンドは油をよせつけやすいものです。油が付いてしまうとそれだけで輝きは半減してしまいます。
買うときはグレードを気にしても、油だらけの状態で使っていたのでは輝きません。


ダイヤのルース



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