昨日、潜水士免許なるものが送られてきました。
小さな運転免許証みたいなカードで「潜水士」の欄に"1"が付いていました。
労働安全衛生法による免許なのでボイラー技師とかガス溶接作業主任者とかと同列の資格ですね。
IT業界で仕事をしているので、仕事上では使い道がないのですが、趣味の資格ということで7月に受験したものです。
海底の秘密基地にデータセンターを構築する仕事、、、とか、あったら資格を活かしてやりますよ!(笑)
試験は午前と午後の2時間ずつで4科目を受験。
2科目分2時間ぶっ続けの試験は結構長いです。そんなに集中力はもちましぇん(汗)
難易度はどうでしょうねー。
問題自体はそれなりに専門的な内容なので、ダイバーの方以外にとってはちょっと難しいとは思うのですが、合格基準は全科目の合計点が6割以上、かつ、各科目4割以上ということなので、合格正解率は低いです。
全体で4割間違っても合格なんですから、それ程、難しくはないですね。
過去問題集が充実しているので、ダイバーなら問題集を一通りやっておけば大丈夫。(2回やれば大丈夫かなー)
テキストを何度も読み込むよりも、断然、過去問題集をやった方が合格への近道だと思います。
問題を解いて、解説を一通り読む。
2度目は間違ったところの解説をよく読んで理解する。これで大丈夫だと思います。
私の場合は、この方式で、朝夕の通勤時間(往復約2時間)×2週間でほぼ理解できたと思います。
暗記が必要な問題は少ないです。
一部、法律で定められた点検の周期とか、潜水方式の違いによるホースの太さとか、覚えておかないと答えられないものがありますが、いくつかしかないので、一覧にまとめておいて、試験直前に見直すだけで大丈夫かと。
機器の構造とかは、それぞれの役割を理解しておけばわかると思います。
予備空気槽の役割とか、空気の流量計と圧力計の違いとか。
予備空気槽に必要な内容積を求める計算問題とかも出ます。
あとは、理解しておく必要があるのは、圧力関係の法則でしょうね。
高気圧環境下での人体に及ぼす影響を理解するための設問が多いので、理論的なところは圧力に関する知識を問うものが多い。
僕は学生時代、物理が大っ嫌いだったけど、過去問題集をこなして、間違ったところの解説を何度か読み直せばだいたい理解はできた。
過去問題集は解説が充実しているので、ダイバーならテキストを読まなくても過去問題集だけでも合格できると思います。
(逆に過去問題集をやらないでテキストだけの勉強だと難しいかもしれません。)
圧力関係では、僕が戸惑ったのはゲージ圧力と絶対圧力。
どちらを指して言っているのかを明確に理解しないと数値がずれてしまう。
絶対圧力は水深20mで3気圧だけど、ゲージ圧力は水面でゼロとカウントするので水深20mならプラス2気圧なのね。
あと、ヘルメット式潜水とか、フーカー式潜水とか、実際に見たことがないとイメージするのが難しいかも。
ロバートデニーロの映画「ザ・ダイバー」とかに出てくるのがヘルメット式潜水。映画の時代設定は第二次世界大戦当時なので、出てくる装備はちょっと古いですけど、基本構造は今も変わらないのでイメージはできるでしょう。
実際、潜水士試験には、減圧症にならないために必要な知識が多く取り入れられていて、ダイバーには非常に有用な知識だと思います。
潜水を仕事としないレジャーダイバーにもお勧めの資格です!
むしろ、ダイビング指導団体の認定資格(Cカード等)には減圧症に関する設題が少ないので、潜水士試験の勉強をするとそのあたりが補完されますね。
減圧症関連では、医学的な問題の出題もあります。
心臓とか循環器系の構造とか、減圧症を考える上で必要となるからねー♪
右心房と右心室ってどっちがどっちだっけ?とか、自律神経ってなんだっけ?とか。
高気圧状態で、体中に窒素が溶け込んだ状態から減圧すると(浮上すると)溶け切れなくなった窒素が体の中で小さな泡になる。
これらは静脈を通って肺から呼気によって体外に放出されるわけだけど、急浮上すると、大きな泡が体内で発生して血管を詰まらせたり、泡が体内の組織を傷つけたりするわけです。
この大きな泡は体内のいろんな場所で発生するわけで、その部位や程度によって発症する症状は異なる。
骨の中の骨髄の血管が詰まると骨髄が壊死することもあるし、手足の毛細血管が詰まるのと、内臓の血管が詰まるのでは、当然、症状も異なる。
あと、肺が傷ついたり、動脈に静脈血が流れ込むような心臓疾患があったりすると、静脈内の気泡が動脈に直接流れ込む。
それが脳の毛細血管にたどり着くと、脳の血管を詰まらせてしまって、非常に危険な状況となる訳ですね。
もちろん、潜水中の危険は減圧症だけではないけれども、減圧症の理屈は理解しとかないと危ないわけですね。
水中溶接中の感電事故とか、ガス漏れによる爆発事故とかって、直感的に危険なのが判るのですが、減圧症は体内の組織の仕組みや減圧症発症のメカニズムを理解しないと実感的に危険なのがわからない。
なので、減圧症予防に関する出題が多いのでしょうね。
試験のポイントはそんな感じですかねー。
合格だけを考えれば、1科目の最低ラインは10問中4問だけ合っていれば良いのだから、不得意分野をざっくりと切り捨てても、得意分野で高得点を目指せば、合格はできるかもしれないですね。
もちろん、1科目あたり4問は正解する必要はあるわけだが、2問位は比較的やさしい問題が出るので、残りの8問の内、2問正解すればよい。
問題は5択なので、何も考えなくても正解の確率は20%。
8問の20%は1.6なので、2問正解には少し足りない。残りの0.4をなんとか実力で切り抜ければよい(笑)
そのかわり、トータルで6割の正解率が必要だから、得意分野で点を稼がないとならないけどねー。
ところで、そもそも、実技試験のない潜水士資格ってどうなんでしょうね?
通信教育で空手とか剣道の資格を取るのと同じような気がするが。。。(笑)
たしかに、問題は実際の潜水をするうえで有用なものが多いし、比較的新しい技術や内容も盛り込まれているので良いと思うのだけれども、泳げない潜水士とか、水が嫌いな潜水士とかって、どうなの?
あと、自分としてはありがたいが、更新って要らないの?とかって、ちょっと思う。
1回取得したら一生使える資格って便利ですけどね。
取得して20年経ったら、技術も変わっているだろうし、分野によっては完全に忘れているだろうなーって思う(笑)
最後に試験会場について。
試験を受けて思ったのは、会場の平均年齢が若いこと。僕のような40代のおじさんは数えるほどしかいませんでした。
キャピキャピの女の子達と、坊主頭の高校生が多い。
坊主頭の少年達は水産高校だと思うのだけど、女の子達は何者だろう?サルベージや水中土木工事をやるわけではなかろうに。みんながみんな水族館の飼育員希望?すげーいっぱいいたけど、そんなに人気の職種なのかな???
試験会場は関東地区はなぜか、千葉の五井の山の中。
駅からはバスとか乗り合いタクシーとか。(試験開催日は4~5人で1台の乗り合いタクシーが出る。一人500円だったかな。)
なーーんにもない山の中なので、弁当とか持っていった方がよいですよ。
車で行く人は、会場に駐車場があるので便利です。
なんで、あんな場所なんでしょうねー。都内にもいくらでも施設はあると思うのだが。。。
(平日に試験をしないで、土日にすれば大学とか借りられるでしょ?)
あーだ、こーだ、書きましたが、皆様の合格をお祈り申し上げます!
水産高校の生徒達よ!頑張れー♪