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求む!必殺仕事人! ~原子力予算に群がる人々~

東日本大震災で被害を受けられた方々に心からお見舞い申し上げます。

あっという間に震災から1ヶ月が経った。
1ヶ月経った現在、震災と津波の被害に関する報道よりはるかに多くの時間放送されているのが、破損した原子力発電所のニュースだ。

素朴な疑問。
なぜ、東京電力の発電所が東北電力の管轄内にあるのか?
柏崎の原子力発電所も東京電力が設置しているらしい。
そして両発電所で発電した電気は東北電力管内では使われず、東京電力管内で消費されている。

なぜ、そんなことが起きるのか?という素朴な疑問から調べ始めたら、原子力をめぐるあれやこれやの思惑が見え隠れし出して腹立たしいったらありゃしない。
今日はそんな話。

発電所の建設が始まったのは1950年代の法整備から始まり、66年には運転が開始された。
その後、オイルショックを経て70年代に今回の福島第一原発も設置されている。
どんな法律や背景で設置されたのか?

原子力基本法が1955年に制定され、74年には電源三法が制定され、受け入れる自治体に補助金を交付する仕組みが作られた。
電源三法とは「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律(旧・電源開発促進対策特別会計法)」「発電用施設周辺地域整備法」のことなのだが、小難しい条文なんかはここでは割愛する。
その法律の意味するところを紐解くと、施設周辺の公共施設の整備を促し、地域住民の福祉向上を図ることで、電源立地のメリットを地元に還元することが目的なのだそうな。

要は、基本法を制定して原子力発電所を国が推進したものの、建設場所に困ってしまった。
地元の反対があったからだ。
それを懐柔するために制定されたのが、この電源三法だ。

さて、原発を受け入れると、地方自治体にはどれくらいの交付金が支払われるのだろうか?

資源エネルギー庁のホームページによると、出力135万kwの原発を建設した場合の例が紹介されていた。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/data/051005g.pdf
(1基で135万kwの出力というと、柏崎の刈羽6号機とか7号機がこれにあたる。)

「建設費用は約4500億円、建設期間7年間」の設定では、支払われる交付金は運転開始10年前から10年間の合計で391億円。
運転開始後の10年間で固定資産税を入れると502億円にも上る。

以前はこれらの交付金には用途の指定があったものの、2003年の改正(?)によって用途の指定がなくなった。
つまり、何に使ってもよい自由なお金になったのだ。
誘致に成功すると、と言うか、誘致するために、その交付金をジャブジャブ地元に注ぎ込む。
何に使ってもよい100億単位の金。

ま、ある意味、それはそれでよいのかな。
原子力リスクの代償として、地域に還元する訳なのだから。

ところで、交付金は稼働前が多く、原子力発電所の稼働後は約1/4程度になってしまう。
稼働開始後は固定資産税の収入が主になるわけだが、固定資産税も減価償却とともに減っていく。
収入は年々減っていくわけだ。

人は一度見た夢は忘れられない。
既に1基建設された原発の横に、2基目を建設することに対しては、抵抗感は雲泥の差で低くなる。
次なる原発を誘致することになるわけだ。

設置する側も、そうあちこちに建設場所が見つかる訳ではないので渡りに船である。
同じ場所に2号機、3号機、、、挙句の果てには、6号機まで建設され、さらには使用済燃料の貯蔵プールまでもが、同じ場所に作られてしまったのが、今回の福島原発だ。

さて次に、国と原子力関連法人との仲良し度合を見てみよう。
原発を持つ東京電力や関西電力や、原発関連法人には、どれだけの官僚OBが天下りしているのだろうか?

用地買収や反対住民の説得などには暴力団の介入なども多いため、電力会社は警察官僚の天下り先としても有名だ。
実際に明るみに出た話としては関西電力の珠洲原発の建設計画の用地買収に伴い、暴力団組長が関電に30億円を要求した事件などがある。
当然、それらの矢面に立ち、隠密に問題解決をするのは元警察官僚達の役目だ。
なので、まだ、彼らは良い。
暴力団対策や用地買収という、実際に必要な実務の為に雇用されるわけだから。(実際に手を下すのが誰かは別として、その指揮をとるわけだ。)

ひどいのは経産省などからの天下り組。
資源エネルギー庁から東京電力顧問に天下った某官僚は、この最も重要な今、雲隠れしているらしい。
「表立って動くと『天下りがいるから東電に甘い』と批判されることをかわすため」らしいが、現在は経産省幹部と東電幹部との橋渡し役を担っているらしい。
そしてその本当の役割は「東電の支払う賠償額をできるだけ減らすこと」だそうな。

2万歩譲って、これも許そう。
東電の社員として、東電の利益の為に働いている訳だから。。。

さらに酷いのは、原子力安全委員会。

この委員会は原子力の安全確保の為に内閣府に設けられた原発の監視役だ。
今回の様な事故が発生したら、中心となって対応策を推進するべき立場にある。
推進するのは東電かもしれないが、少なくともお目付け役として指導する立場にあることは間違いない。

その委員長の斑目氏が初めて世間の前に現れ発言したのは23日夜。遅すぎる。
さらに、その後の会見では、放射能に汚染された汚染水処理の話をめぐり「知識を持ち合わせていないので、東電と原子力安全・保安院にしっかりと指導していただきたい」と発言した。

何のために存在するの?
原子力"安全"委員会の委員長さん。
あほらしくて笑いが止まりません。

彼らは常勤の特別職公務員だが、定例会議は週に一度だけで、議事録によると会議は最短10分弱、長くても1時間半だそうな。(週刊ポスト調べ)
これで、月給93万6000円とボーナス合わせて1600万円以上の年収だそうな。
笑いが止まらないとは、このことだろう。(別の意味で)

経産省を中心に政府が拠出する原子力予算は年間約8370億円(2011年度概算要求額)。
この巨額の予算に群がる?(ぶら下がる?)組織は原子力安全基盤機構だとか、日本原子力研究開発機構だとか、原子力安全技術センターだとか、日本原子力文化振興財団だとか、だとか、だとかは、今、何をしているのか?

今こそ、日頃の成果を発揮する時ではないのだろうか?
今こそ、真価が問われているのではないのだろうか?

挙句の果てには、原子力損害賠償法に基づき、各電力会社が毎年国に納めた補償料が、1962年の制度開始から2010年度まで累計でわずか150億円しかないことが分かったらしい。
東京電力福島第1原発事故で、国は最低でも1200億円を支払う必要があるらしいが、補償料ではぜんぜん足りない。
2号機も対象となった場合は2400億円を用意する必要がある。

不足分は国民負担で賄うしかないというが、その前にやるべきことがあるのではないだろうか?

これらの予算にぶら下がり、散々美味しい思いをしてきた人々は、どう責任を取るつもりだろうか?
いや、誰が責任を取らせるのだろう?

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