Date: Mon, 30 Oct 2006 11:41:54 +0900
巷では出資法の改正案について、様々な議論がされているようです。
そもそも、この話って、どういう話なの?というのが今日の話題。
まずは現行法の簡単な説明から。
この国では、利息の制限に関する法律は「出資法」と「利息制限法」の二つの法律があり、その2つの法律で制限金利が違っています。(2つの法律があって、それぞれ基準が違うところがボタンの掛け違いの始まりですね。)
利息制限法では、貸金の金額によって15%~20%の範囲で利息を決めています。
しかし、この法律には罰則規定がありません。
罰則規定のない法律なんて、守る人は「良い人」だけなわけで。。。
一方、出資法も利息の上限を規定した法律ではありますが、利息制限法と違い違反すると罰則があります。
そのため、多くの貸金業者は出資法の範囲内で貸付を行っているのです。
出資法は数回の法改正を経て、現在は29.2%を超える金利の貸付業者が違法行為による罰則の対象となっています。
この利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の間の部分が、いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれているのです。
このグレーゾーン金利を解消させようとか、そもそもいくらの金利が適正なの?なんていうところを決めていこう、というのが今回の出資法改正の趣旨です。(だと思います。。。)
今回の改正案では、50万円以下で短期間の貸し付けについては、現在とほぼ同じ水準の金利を9年間存続させる経過措置が盛り込まれている事が、いかーん!とか、利息制限法の金利自体ももっと下げるすべきだ!
なんてことが言われているようです。
果たしてそうなのでしょうか?
私が思うに、制限金利を下げることで本当に皆がハッピーになれるとは思えないのです。(そんな法改正は皆を不幸にするだけであーる!)
そもそも、金利ってどうやって決まるのでしょう?
基本的に、金利は貸し倒れの発生率によって決まります。
貸しても返してくれない人の多いグループには、それを見越して、高い金利で貸す。だから、採算が合うわけです。(不動産とかの持ち逃げできない物件を担保に入れてくれるなら、より焦げ付きの可能性が低くなるので低金利で貸せるわけです。)
今回の改正の考え方で、上限金利を法律で一方的に下げるとどんな事が発生するのでしょう?
上限金利が法律によって、一方的に下げられてしまうのですから、これまで貸していた「貸し倒れの発生率の多いグループ」には貸したくても貸せなくなります。(だって上限金利を制限されたら、貸し倒れの発生率に照らして採算が合わなくなるから、貸すと商売が成り立たなくなる。だから貸さないし、むしろ、貸せない。)
貸してもらえないとは言っても、借りる側としてはお金が必要なわけで、それらの層はどこに行くかといえばアングラマーケットに頼るしかなくなるわけです。
つまり、違法業者から借りざるを得ない。
だって、合法業者が貸してくれないのだから仕方がないですねー。(金は明後日までに必要なのよ、といった事情は変わらないわけで。)
上限金利を法律的に引き下げるということはそういうことなのです。
法律でいくら上限金利を引き下げても、国が貸金業者に対して、今までと同じ範囲のお客さんに金を貸せ!とまでは絶対に言えません。
貸し倒れの多いグループは、合法業者からは見捨てられるわけです。(当然の市場の原理ですね。採算に合わないことはしないし、できない。)
合法業者から相手にされなくなった人達は、違法業者から借りることになる。
その違法業者から借りるとどうなるのか?
違法業者はそもそも違法ですから、何でもありの世界。
強引な取立てから、脅し、暴力事件に発展すれすれのところまで何でもあり。。。(怖い。。)
そんな世界をお望みですか?
私は、今回の法改正の考え方の根本が違うと思うのです。
私は、利息の上限などはすべて取っ払ってしまえば良いと思います。
年利500%だろうと、月利150%だろうと業者の自由。(さんま1匹100万円、ネギ1本50万円でも合法なのと一緒です。)
そのかわり、貸金業者は全て登録が必要で、まずは全ての業者を貸金業登録の大きな網の中に入れる。(違法業者を無くす為に「非合法であるよりも合法で高金利の方が得だ」と思える状況にする。その為には、見登録である事への罰則の強化が必要ですね。)
全ての貸金業者は取り立ての方法や、金利の表示方法など細かく規制を受ける。
借りてみたら凄い金利だった、なんてことの無いような表示をすべての業者にさせる訳です。
取立ての方法も常識的なもので無い限り、ガンガン摘発する。
そんなふうにすれば「あらかじめ月利50%である事を理解して借りた人」が悪い訳で、そんな人は人生を棒にふってでも返済しなきゃならない。(借りた金は返しましょう。)
それともう一つ言いたい。
「自己破産」した人は一生、借金ができないような仕組みにした方が良い。
今の自己破産は返さない者勝ちの状況で、正直者がバカを見る制度。
自己破産で借金をチャラにするなら、今後一生、一円も借金ができない位のペナルティーがあってしかるべき。
自己破産をしても、誰からも後ろ指も差されずほとんど生活に不便は無く、数年経ったらまったく他の人と同じ状況に戻ってしまうのであれば、真面目に金を返すのがバカらしくなってしまう。
そんなことを想うのでした。