表題の「値切りは半額に、値上げは3倍に」という言葉ですが、これは故松下幸之助氏の言葉です。
なにを乱暴な、と思った方もいらっしゃるかと思いますが、非常に思いやりに満ちた言葉だという解釈があります。
最近読んだある本の著者による解釈は下記の通り。
値切ることを考えた時に1割や2割程度を値切った場合、相手はその程度なら、闇雲にがんばる事によって、もしかするとカバーできてしまう範囲なのかもしれない。
もし、そうなら、それはお互いの為にならない。
(一方の犠牲の上に成り立つ取引になる。)
半値まで値切られた場合を考えてみる。
当然、今までのやり方では利益は出るはずが無い。
従って、根本的な見直しを図るほか無い、というのだ。
アインシュタインもライト兄弟も、非常識な事の実現を考えることによって、結果として世の中を前進させることに成功した。
100mを移動するのに10.00秒かかるものを、日々努力を重ねて1/10秒とか1/100秒縮めることはオリンピックでは有効だが、ビジネスの世界では有効ではない、と著者は言う。
自動車や飛行機を発明した方がビジネスの世界では有効だと、この著者はいうのだ。(私もごもっともだと思う。)
松下から半値に値切られた部品加工工場は、その内の何割かは倒産してしまったかもしれないが、何社かは根本的な見直しによって、倍の生産性を実現する。
結果、その部品工場の為にもなるし、松下の為にもなると言うのだ。
値上げについても同じ事がいえる。
1割や2割程度値上げしたところで、そんな微々たる金額では品質を明らかに変えるのは非常に困難。
で、あれば、3倍に値上げして、その商品を売る対象(マーケット)から製品の品質、販売方法に至るまで根本的に考え直し、売る事を考えるべし、というのだ。
(まさしくソアラをマイナーチェンジして大成功している、トヨタのレクサスの話のようです。)
久しぶりに「うーん」と唸る一冊でした。
目次から抜粋した項目は下記の通り。
・晴れた日にこそ傘をさせ
・彼氏は彼女がいる人の中から選べ
・残業をやめれば給料は増える
「千円札は拾うな」サンマーク出版
安田佳生 著 <(株)ワイキューブ代表>
読みやすく、わかりやすい表現で書かれているので、2時間程度で読みきれてしまいます。
私はこの本の全てを肯定するわけではありませんが、とても参考になる、お勧めの本だと思います。