ところで、いよいよソマリア沖に海上自衛隊を派遣するとか。
派遣することは評価できますね。
現実問題として、日本の船が脅威を受けているわけだから。
でも、派遣される側の立場に立って法律を整備してから行かないと、困るの
は、いつも現場、ということになりかねない。
それどころか、せっかく大金使うのに効果半減、被害拡大、なんて言うこと
にもなりかねない。
> 防衛省は
> (1)日本船籍の船のほか、外国船籍の船に乗る日本人や日本向け貨物も
> 保護する
> (2)警察官職務執行法に準じ、相手に危害を加える武器使用は正当防衛、
> 緊急避難に限る
> (3)拘束した海賊への司法手続きは、護衛艦に同乗する海上保安官が行う
> --方針で、関係省庁と協議に入る。活動の概要は実施計画として与党に
> 提示する。
>
だそうです。
ってことは目の前で外国の船が襲われ、自分達が撃たれなければ、殺戮されていても見て見ぬふりをせざるを得ない。
たしかに日本国のために出動するとは言え、海賊が非武装の現地民を殺戮していたのを目の前にしても手を出せない。(これはどの国も同じかな。)
アメリカ人やイギリス人の船が襲われていても、素通り。
(しかも日本向けの貨物でなければ?!そんなん、すぐにわかるのか?)
逆に、その船に一人でも日本人が乗っていたら手を出せるらしいのだが。。。
大きな外国船のどっかの停泊地での現地採用の日本人乗組員なんてどうやって把握するのだろうか?
船員リストに載っているのを確認するのって、現実的にはどれくらいの時間がかかるのだろう?(日本向けの貨物が含まれるのか否か?も同様。)
目の前で襲撃されている船がある。
船の船籍、船名を確認する。
無線で問い合わせをかける。
連絡を受けた現地本部は、船籍の会社を調べる。
会社を調べたら、その会社に問い合わせをかける。
(問い合わせをかける会社がその日、休みである可能性もある。海賊は週休2日制ということはないだろうし。。。)
その会社はその船に乗っている人達の国籍や貨物の行先を確認し、本部へ返答してくる。
ようやく、現場はその船の情報を得る。
恐らく、ここまで実施する間に早くても数時間はかかると思うし(へたすりゃ数日位かかるだろう?!それが日本以外の国の仕事のペースだったりする。)
返答が返ってきた頃には、船員は殺戮され積み荷は略奪され、船は海底に沈んでいるわけだ。
船を見て日の丸が挙がっているからわかるだろう、って?
そんなことはない。
日本の船であっても、書類上は税金の安い国の船籍にしている船は多い。
よく「パナマ船籍」とか「リベリア船籍」「キプロス船籍」という言葉を聞くのではないだろうか?
これらの国は船籍に対する税金が安いとか、まったくかからないため、日本の船もこれらの国に船籍を置く会社が多い。
言ってみれば税金逃れだ。
いくら双眼鏡で覗いて見たって、制服を着た東洋人の顔が明確に日本人であると断定できるだろうか?
ましてや、船長だけ日本人で他の乗組員は皆外国人という日本の船は多い。
日本の若者は派遣では仕事をするけど、船には乗らないのだ。
そんな船が目の前で襲われている。(無線で交信できればよいが、海賊に先手を取られたら、無線交信ができないケースも十分に考えられる。)
船籍はパナマ。
問い合わせをかけている内に海賊は目の前で殺戮を働く。
彼らは決して自衛隊の船に発砲しない。(発砲すると正当防衛が成り立つ。)
ソマリアは長い内戦の歴史を持つ国で、ほとんどの成人男子はゲリラを含め、民族戦線での従軍の経験がある。
殺るか殺られるかのやり取りを経験してきた人達が多い。
その中の一部のならず者が海賊になるわけだから日本人の想像の範囲外の常識で行動するわけで。
当然、海賊の新人君でも銃器の扱いには慣れているだろうし、人を殺した経験を持つ者も多いだろう。。。
彼らは迅速に行動し、決して数時間も、もたもたしているとは思えない。
そんな場所に、日本の自衛隊をこのルールで派遣して、果たして活躍する場はあるのだろうか?
もし、あるとしたら、日本の旗を掲げている船に対してだけ。
これについては見ればわかる。一目瞭然。
積み荷がどうの、国籍がどうのという、まどろっこしいことは一切不要。
ま、これはこれで明快で良いのだが。
外国船籍の船は、日本の税金を逃れているのだからしかたがないと言えばそれまでだ。
アメリカの船が何故、高い税金を払ってもアメリカの国旗を掲げるのか?
もちろん、それは海賊避けになるからだ。
(企業は意味のないものに金は払わない。)
もちろん、海賊だって死にたくはない。
できれば、手強い相手や後々面倒になる相手は避けたい。
当然、世界最強の軍隊を持ち、バナナの権益にも海兵隊を派遣した実績を持つ(最近では石油の権益を守るために戦争をやっていたが)国は避けるのが当たり前だ。
軍隊なんてあるかどうかわからないような弱小国を狙うのが定石。
それらの国は概して貧乏だから、パナマ船籍などの船が多い。
インドネシアの海賊等は、あらかじめ寄港地はもちろん、積み荷の詳細も把握し、場合によっては売り先まで決めてから襲撃を実行する。
彼らは行き当たりばったりではないのだ。
(売り先は大抵中国で、沿岸の官憲もグルになっていると思われる。中国の港に着くと数日ごとに港を転々とし、その都度、船の色や名前が変わっていき、数か所を経た後は、積み荷は別の物で、船名や色も塗り替えられ、乗組員も完全に入れ替わって他の国へ旅立って行く。船主も変わっている。)
ソマリアの海賊がそこまでシステマチックかどうかはわからないが、強い国の船を避けるところは万国共通だろう。
日本は弱小国とは思われていないだろうが、身代金の支払いが良い国のリストのトップに名を連ねていることは確実だ。
しかし、今回の海上自衛隊の出動で、日本国旗のたなびく船の安全度は確実に上がるとは思う。
閑話休題。
あとはどのような武器を持っていくのか?というところが問題。
イラクに行く時でさえ、機関銃はダメとか、議論があった。
ましてや、今回は警察行動として行くわけだ。
相手は海賊とは言え、舐めてはかかれない。
彼らの国ではAK自動小銃等は一山いくらで売っているし、海賊達は普通にRPG対戦車ロケット砲ぐらいは持っているだろう。
海賊なら皆、手榴弾程度はポッケに入れていてもおかしくない。
(手榴弾1個は数ドルで買える。)
陸上自衛隊と違って艦載砲が使えるならかなり効果はあると思うけど。
他の国はどのようなルールで派兵しているのだろうか?
ググっても日本語では見つからない。。。
英語でググらないとダメかな。。。