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仕事を生み出す人と仕事を失う人

さて、世の中あまり景気が良くないですね。。。
って、景気が良くない会社(人?)はずっと良くないし、良い会社(人)にとっては別に景気は悪くもない。
そんな世の中は、今後もずっと続くことになると思います。

よく「産業構造が変化した」なんて言われますが、これってどういうことなんでしょう?

先日のブログにも、なぜ?を考えることが大事だという話を書きましたが、根っ子ではこの話と繋がっていると思っています。

会社でも人でも同じですが、なぜ?を考えて、より合理的で便利なルールやサービス、製品を考えだせる会社(人)と、他社のそれを使う会社(人)に分かれていっていると思うのです。

僕って、IT業界って丸っと一括りにされる業界にいますが、中でもネットワーク技術者を多く有する会社にいます。
その中の身近な例で考えると。。。

先日、「オープンフローって知ってます?」とある取引先の方に質問されました。
恥ずかしながら答えることができなかったのですが、その後、調べました。

オープンフローというのはネットワークの仕組みの新技術で、昨年5月には世界に先駆けてNECから、このオープンフローの技術にのっとった製品が発売されていました。

これまで、ルーターとかスイッチとかって、個別に設定をしないと使えないことが多い、というか、これを設計構築、運用しているのがネットワーク技術者だったりしますが、これがかなり便利になる仕組みがこのオープン
フローなんですよ。

今の技術ではサーバの前にロードバランサーを置いてサーバの負荷を分散したり、インターネットの境界にはファイヤウォールを置いて外からの侵入に備えたりしています。
通信機器の間にはスイッチをはさんで、場所によってはルータを置いて、それらの各機器にベンダー毎のルールに則った個別の設定を入れないと、ネットワーク全体が思った様に動いてはくれません。

これが、2種類の機器で代用できるというのがこの仕組み。
「オープンフロースイッチ」と「オープンフローコントローラー」という2つの機器がそれです。

さっき書いた「ロードバランサー」とか「ルータ」といった機器に成り変われるのが「オープンフロースイッチ」で、このオープンフロースイッチをコントロールするのが、文字通りオープンフローコントローラーです。

これまで、個別の専用機器を設計設定していたのが、コントローラーにプログラミングしてやると、その通りにネットワークが動作するという仕組みです。

何が便利なのか?

コントローラーの設計設定は必要ですが、構築してからが圧倒的にラク。
物理的には二重三重に網の目の様に繋げておいても、どの様な経路を通すかはコントローラーへのプログラミングで決まる。
今のネットワークでは、繋げてしまった瞬間にループが発生したりして通信ができなくなったりするけど、そんなことも起きない。
お~便利じゃん。

網の目につないだオープンフロースイッチの一つが壊れたらどうなるか?
コントローラーが自動的に迂回路を見つけて通信は継続される。
お~便利じゃん。

ん?今もそうなってる?

今現在の技術での冗長構成というのは、例えば2本通信線を引いておいて片方が切れても大丈夫、とか、2台機
器を並べておいて、メインが壊れるとスタンバイに切り替わるとか、そういう仕組みが多い。
だから、個別に回線や機器を2重に設置せねばならず、コストも手間も倍かかるわけです。

このオープンフローの仕組みだと、例えばルーター機能として動作しているオープンフロースイッチが壊れたら、迂回路のオープンフロースイッチにルーター機能を持たせてやれば通信は継続できるという考え方。
同様にファイヤウォール機能として使っているオープンフロースイッチが壊れたら、迂回路のオープンフロースイッチにその役割を任せることができる。
あらかじめコントローラーに設定しておけば、自動で障害発生時に通信は自動復旧されるようにプログラミングが可能というものだ。(お~。やっぱ便利ぃ!)

さらに、これらの仕組みは現在のネットワークでは各社個別に保有して構成しているケースが多いのですが、論理的に分けられるので、各社でシェアして使えるのだ。
これは大幅なコストダウンに結び付く可能性がありますね。

今はまだ、オープンフローの製品ってほとんどないし、使っているところも限られているので馬鹿っ高いですが、普及すれば、、、ですね。
まずはデータセンター内部に導入され、段々コストが下がってくると一般にも広く使われることでしょう。

と、何でこんな話をしたのか?

これって、技術の進歩の一例ですよね?
他の業界でも同じような技術の進歩ってある訳で、日々、世の中は進歩していきます。

さっき書いたオープンフローの仕組みが社会に普及すると何が変わるのか?

便利になるってことは、裏では仕事を奪われる人とか会社っていうのが出てくるわけですよ。

例えば、ネットワークを監視している会社ってありますよね?
専用の監視装置を設計構築して、その企業のネットワーク機器を個別の重要度に分けて監視して異常を検知したらあらかじめ決めておいたルールに基づき報告連絡しつつ、修理するという仕組み。

オープンフローではコントローラーに設定されていれば、自動でネットワーク機器を監視してくれます。
そして、故障を検知したらあらかじめ設定したポリシーに基づき、自動で通信を迂回してくれる。

通信が迂回したら、あせらず急がず、修理手配すればよい。
監視する人もいらないし、異常を検知したらそこで何が起きているのかを即座に調べる技術者も要らなくなる。
365日即時駆け付け対応の高額な契約なんかもいらなくなるかもしれません。
(サービスが止まらなければ、そんなに急ぐ必要はないので。)

年度末の部署異動の時期、席替えに伴ってネットワーク機器の設定変更が多発。(Vlan設定とか)
なんていう時も、個別の機器を設定するのではなく、コントローラーのプログラミングを変えるだけで、個別機器の設定はいじる必要が無かったりする。
そこでは相当な手間が減るわけで、手間が減るっつーことは、それによって仕事を失う人もいるかもしれない。

さてさて、ここで仕事を失う会社とか人ってどんなでしょう?

コントローラーをプログラミングしたり、そのプログラミングのもとになるポリシーを設計する人は、多分、仕事も一杯あるし、従って景気も悪くはならない。というか、超忙しいかもね。(儲かる儲からないとは別だが)
反面、監視センターでアラームが鳴ったら決められたフローで、電話とかメールとか書いていた人は仕事を失うかもしれない。

かつて、自動改札が導入され、切符切りの人の仕事がなくなったのと同じ。

あなたの仕事は、どちらの種類の仕事ですか?
イノベーションで機械やシステムにとって代わられてしまう仕事なのか?
あるいはそれらの仕組みを考え作り出す仕事なのか?

「世の中全体が景気が良くなることは無い」というのはそういうことだと思います。

第一次欲求(睡眠欲とか食欲とか)が満たされるまでは、一律で社会が成長していくので右肩上がりの社会を維持することはそれ程難しくない。
例えば、2軒に1軒しか冷蔵庫が無い時代は、人よりも沢山、それこそ寝ないで冷蔵庫を作れば儲かった。

でも今は、どこの家でもきちんと冷える冷蔵庫を持っている。
壊れたって、それこそリサイクルショップにでも行けば、二束三文でそれなりの性能のモノが買えるし、ビックカメラで特売品を探した方が安いかもしれない。

第一次欲求とか第二次欲求(安全)とかが満たされない世の中って、みんなの欲求の方向は同じだからわかりやすいんですけど、第三次欲求以上の高次の欲求というのは個人の嗜好によって大きく方向が変わるので、何をすれば儲かるっていうのが簡単ではない。

そんな中、技術のイノベーションや国際化も進んでいくので、単純労働の価値がどんどん下がっていく。
誰でもできることは、機械に置きかえられたり、物価の安い国の人に置きかえられたりする。

それらに置き換えられない仕事をしている会社や人は景気が良く、置き換えられちゃった人や会社は不景気になる。
将来的にはプログラミングのできないネットワーク技術者って使い道がなくなるのだろうし、おんなじことがいろんな業界で起きるし起きている訳で。

もちろん、それ以外の理由で景気の悪い業界や会社や人も沢山いるけど、ビジネスとか仕事を考える上では、結構大事な考え方ではないだろうか?って、思うんですよねー。

僕自身も置き換えのできない仕事を生み出す人にならねばならないと強く思っております。

でわでわ。



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